リセットされるから急ぐのか、リセットされたら使うのか――AIの利用枠から開発の段取りを考え直した
AIの利用枠が使い切る前に戻ると、上位プランがもったいなく感じました。4つの開発を含む6つの作業を同時に動かした経験から、人の確認が追いつく段取りと、余裕ができたときに渡す仕事の準備を考えます。
最近、開発の作業はChatGPTやCodexを中心に進めています。当社では、土木設計の実務を支える仕組みや社内の業務ツールを、少しずつ自分たちで作っています。私自身は上位プランを契約し、仕事を進める中で利用枠をかなり使うようになりました。
その一方で、利用枠が残っているうちに全体リセットが来ると、少し「もったいない」と感じます。余裕を持って仕事を進めるための契約なのに、使い切れなかった分を損のように見てしまう。自分でも変な話だと思います。
この感覚をAIと話しているうちに、料金プランよりも、枠があるときに何を任せ、返ってきた結果をどう確認するかという段取りが気になり始めました。
リセットが続く中で、上位プランの価値を考えた
OpenAIの28日間の改善企画と利用枠のリセットについては、毎朝8時に発表を調べていた記事でも書きました。その記事では、10月13日に残量が約10%から97%へ戻ったことや、朝の自動チェックではその日の発表を拾えなかったことを記録しています。
何度かリセットの案内を見るうちに、私の中で「枠を使い切らないと、上位プランがもったいないのでは」という気持ちが生まれました。ここまでの日数のうち、体感では6日くらいリセットされている気がします。ただし、自分で全日を数えて確かめた数字ではありません。
上位プランが自分の仕事に合っているかどうかは、リセット直前の残量だけでは判断できません。資料やコードを確認してもらい、試し、結果を読み、直す。図面や数量に関係する仕組みなら、条件を変えて繰り返し確かめることもあります。そういう使い方には、まとまった利用枠が役立っています。
一方、枠の不足で実際に仕事が止まることが多いのか、反対に私の確認が追いつかずに止まることが多いのかは、しばらく使い方を見ないと分かりません。料金に見合うかどうかも、「余った」という一場面だけで決めず、必要な仕事をどれだけ無理なく進められたかで考えたいと思いました。
使い切ろうとして仕事を急ぐと、手戻りが増える
もったいないと感じると、「次のリセット前に使っておこう」と考えそうになります。しかし、開発で急いでAIに渡した仕事ほど、後から人が確認することが増えます。
何を作るか決め切っていない段階で作業を始める。対象の資料や、どこまで直してよいかを伝えない。結果の確認を後回しにしたまま次の作業も動かす。これでは、AIが速く動いても、こちらが判断をやり直すことになります。
もちろん、試作の段階なら曖昧な問いから始めることにも意味があります。ただ、仕様が決まっているつもりで実装を任せるときは、少なくとも今回の範囲と確認方法を先に揃えたい。利用枠を埋めるために仕事を増やすと、本来の目的から離れてしまいます。
そこで、リセットを「使い切りの締め切り」と見るのをやめました。余裕ができたときに、準備済みの仕事をもう少し進められるボーナスタイムと考える方が、私には合いそうです。必要な仕事をリセットまで待たせるという意味ではありません。通常の仕事はいつもどおり進め、その上で追加できる作業を用意しておきます。
4つの開発を含め、6つの作業を同時に動かしてみた
今、当社では主に4つの開発・検証を並行しています。以前の記事で個別の経緯も書いているので、ここでは今回の作業の違いが分かる範囲に絞ります。
- 樋門AIエージェント:設計条件、水理・構造計算、図面、数量のつながりを確かめやすくするための開発です。実務で使える範囲を検証しており、設計上の判断は人が行います。
- Creer AI技術室:新しいAIの使い方を小さく試し、実務へ取り入れる前に有効な範囲や注意点を確かめる実験環境です。
- Knowledge OS:仕事の中で得た経験や判断の経緯を、後から確認できる形で残す仕組みです。保存した候補をそのまま確かな知識とは扱いません。
- 社内ポータル:日報など日々の情報を入力・確認しやすくするための仕組みです。社員が無理なく使えるかを見ながら整えています。
この原稿を考えていたとき、4つの開発をdotが複数の仕事を扱える仕組みも使いながら並行して動かしていました。さらにClaudeでも二つの作業を進め、その一つがこの記事の整理でした。いつも6つを同時に回しているわけではありません。たまたま時間ができた30分から1時間ほどで、まとめて進めてみた場面です。
複数の仕事をdotから別々のWorkへ渡して動かした経験自体は、2つの開発案件を任せた記事に書いています。今回初めて意識したのは、その数を増やしたときの自分の側です。
AIが6つの作業を並行して進めても、結果を読んで次を決める私は一人です。樋門の計算や図面なら、条件と根拠を理解して確かめる必要があります。Knowledge OSなら、残す内容の意味や公開範囲を見ます。社内ポータルなら、画面が動くだけでなく、使う社員にとって無理のない流れかを考えます。
作業を増やせば、その分だけ結果が返ってきます。返ってきた順にすべてを承認するわけにはいきません。利用枠に余裕があっても、確認と判断に使える私の時間には限りがあると実感しました。
余裕がある日に進めやすい仕事を分けておく
枠に余裕ができたとき、すぐ渡せる仕事もあります。条件を変えて同じ処理を試す。動いている機能のコードを整理する。確認やテストを追加する。これらは対象と合格条件が決まっていれば、まとめて進めやすい作業です。
一方、「何を正しい結果とするか」「誰が使うか」「元請会社へ何を確認するか」が決まっていない仕事では、AIだけを長く動かしても先へ進みません。樋門の設計条件や、社内ポータルの運用方針のような点は、私たちが資料や実際の仕事に照らして考える必要があります。
一つの開発の中にも、両方の仕事が混ざっています。AIができる部分だけを先に進めても、最後にまとめて確認するなら負担が大きくなります。今どこで止まっているかを見て、判断待ちのものは先に自分で整理し、条件が決まったものをAIへ渡す。その順番が、利用枠を増やすこと以上に効く場合があると思います。
「枠があったらやること」を、渡せる形で残したい
次に試したいのは、利用枠に余裕ができたら進めたい作業のストックです。ただ「確認機能を作る」と書くだけでは、着手時にまた一から考えることになります。少なくとも、次のことを残しておきたいと思います。
- 何を渡すか:対象の資料やデータ、前回の結果
- どこまで進めるか:調査、試作、修正など、今回任せる範囲
- 何を確かめるか:期待する結果と、確認に使う方法
- どこで止めるか:人や元請会社の判断が必要な点
これは、AIへ仕事を渡すための短い要件整理です。実際にこの形でストックを運用し、効果を測った段階ではありません。ただ、複数の開発を行き来する今の私には、次に再開する場所まで記録しておくことが役立ちそうです。
余裕ができた日に何を頼むかを探し始めるより、普段から仕事の条件と残りの確認点を整理しておく。リセットの知らせを見たときに、準備できたものから選べるようにしたいと思います。
社員にも、仕事に合わせて使ってほしい
当社では、全社員がChatGPT Businessを使える環境にしています。社員は開発が中心ではありませんが、利用枠を目的にしないという考え方は同じです。
長い資料の要点を整理してもらう。表の形式を整える。説明文の案を出してもらう。目的と条件を渡せば、日々の作業を助けてもらえます。一方、数量計算書の式が図面のどの部分を表すか、協議用の資料に書いた内容が元請会社から示された条件と合っているかは、本人が根拠を見て確認し、必要な判断を元請会社へ求めます。
私が上位プランを使い、開発で枠を多く消費することと、社員が日々の仕事でAIを使うことは、同じ量を目指す話ではありません。仕事に必要なときに、必要な形で使えることが大切です。
リセットが来ると、今は少しうれしくなります。使い切るために急ぐ日ではなく、準備しておいた仕事をもう少し進められる機会だと考えられるようになったからです。次は実際に、作業のストックを作り、私の確認まで含めて無理なく回るかを見ていきます。